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こんにちは。アニィです。
さて、連載小説のほうも9日目と言う事で3ヶ月に渡って掲載してきた訳なのですが、今日で第1章が幕を閉じます。小出しに掲載していけばもっと長く掲載する事も出来たのですが、中途半端で終わってしまうと物語が解かりずらくなってしまう事も踏まえ、この連載小説の回だけはかなり長かったので携帯でご覧になっている方にはいささかご迷惑をお掛けした事と思います。それも今回まででございます。正直28日の晩に書き上がったばかりなので、書きたてホヤホヤの最終話、是非ご堪能下さい。

病院に入り剛志の手を握り締めながら時間は緩やかに流れていった。戻ってきて欲しいと言う想いを胸に秘めながらただただ祈る事を止めなかった。早くその目を開いて私にその屈託の無い笑顔を見せて欲しいと…。私は泣いてはいけないと思いながらもその現実を目の当たりにして止めど無く溢れ出す涙を拭いきれずにいた。しかし心は戻ってくる事だけを信じ、たとえ涙が枯れようとも祈り続ける。そう心に言い聞かせ続けた。

気が付いたら時計の針は日付変更線をまたぎ、無情にも結婚式当日となってしまった。私がこの病院に入ってから既に6時間余りが経過していた。私は時間を気にせず必死で祈り続ける。
すると、天に祈りが届いたのだろうか?心に一筋の光が差し込んだ。なんと、剛志の中指がピクッピクッと動いたのだった。私はこの僅かな変化に笑みがこぼれた。今まで涙を流していたのがまるで嘘の様に…。しばらくすると中指だけでは無く全ての指が動き出し、奇跡的にも意識を取り戻したのだ。意識を取り戻した剛志に私は必死で呼びかけこう言った。
「剛志。私、解かる?ちゃんと剛志の目には私が映っている?ねぇ、剛志答えて。」
すると、今までずっと生死の境をさまよっていただろう、剛志が私にこう語りかけてきた。
「薫だろ。ちゃんと見えてるし解かってるから大丈夫だよ。何か薫にすげぇ悪いなぁって思ってる。本当ごめんな。結婚式…。俺こんなんじゃ出れないよな…。」
これが、今まで意識の無かった人間の言うセリフなのか?どんな状態でどんな状況下に置かれても必死になって私だけを見つめてくれている。そんな剛志の心の温かさに今まで止まっていた私の涙腺がまた開き、大粒の涙が滴り落ちた。
「そんな、泣くなよ。薫。俺まで悲しくなるじゃないか。ほら、笑って。薫にはいつも笑顔でいて欲しい。薫を幸せにするってカッコいい事言ったのに…。嘘つきになっちゃうじゃん。」
目の前で涙を流す私を剛志が戒める。私は必死で涙をこらえながら剛志に対し、精一杯の作り笑顔で「ごめんね。大丈夫?」と答えて見せた。すると剛志が続けてこう語った。
「そうだよ。やっぱり俺は薫の笑顔が一番好きだよ。これからもその笑顔を絶やさず俺に見せてくれよな。じゃぁ俺、結婚式に備えてもう一度寝るな。最後に…。ありがとう…。」
そう言うと笑顔で目をつぶった。私は笑顔で「早く良くなってね。」と言ってその時は剛志を休ませようとだけ考えたのだが、それを境に剛志の目は二度と明く事は無かった。

結婚式が一転してお葬式に変わってしまった。私はまだ籍を入れていないので親族では無いのだが、剛志をきちんと送りたいと親族としてお手伝いさせて頂く事を志願し、快く承諾してもらった。そして、初七日が過ぎた時、誠二が私のもとを尋ねてきた。
「薫さん、お疲れ様です。なんか大変な事になっちゃいましたね。本当なんて声掛けていいのか解からないんだけど、実は今日はどうしても伝えなければいけないと思ってここにきました。正直、今でもまだこれを伝えるべきかって悩んではいるんだけど、いつまでも俺が持っていても仕方が無いので、あえて渡しておきます。実は結婚式のサプライズで剛志から薫さんへの手紙を預かってたんだ。でもこれが薫さんの過去に消えない思い出として残るのであれば、薫さん自身新しい道へ進む足枷になるんだとしたら、それは剛志も望まないだろうから封を開けずに捨ててしまって下さい。でも薫さんにとって剛志を良い思い出として心の中に留めるなら、読んでみたらいいんじゃないかな。その判断は薫さんに任せるけど…。とりあえず渡しておくね。」誠二はこう語ると、剛志の残した手紙を私に差し出した。私の考えは後者だ。やっぱり剛志とのかけがえの無い時間はいつまでも心の中にしまっておきたい。そう考えると剛志の残した最後の手紙を何のためらいも無く誠二の前で開封して見せた。
「薫。今日からやっと二人の生活が始まるね。僕は薫をこの生涯を賭けて幸せにしていく事を改めて誓います。これからの生活の中で時にはケンカをする事もあると思う。けれどこれだけは約束して欲しい。僕は薫の喜んだ顔、怒った顔、哀しい顔、楽しそうな顔、そんな喜怒哀楽全てひっくるめて大好きだから、今日のこの日があると言う事忘れないでいて欲しい。僕にこの先どんな事が生じたとしても、いつも笑顔でいて欲しい。これだけは必ず守って下さい。そしてこれから幸せな時間を死ぬまでずっと二人で作っていこう。これからも宜しくね。最後に一つだけ言わせて下さい。薫、本当にありがとう…。」
私はこの手紙を読んだ時に剛志の最後の言葉がこの手紙に重なる不思議な感覚を覚えた。今考えるとあの状況の中で剛志が意識を取り戻したのも最後のこのありがとうと言う言葉を伝えたかったのではないかと。私はもの凄く剛志がいとおしくなり泣きそうになったが、この剛志との約束を守るべく必死で涙をこらえ、ただ笑顔を作る様頑張った。天国の剛志が私の事を心配しない様にと…。

どこまでも続く青く澄んだ空を見上げて、私は大きく深呼吸をした。
「私はもう大丈夫。今日も一日笑顔で頑張るから…。」
私の中の短くて長い貴重な3年間を胸に刻んで、明るく頑張る事が私にとって何より必要な事だと剛志が教えてくれたから…。 この想いが剛志に届く様に…。

第1章 ~ 薫の目線 ~ FIN

どうでしたか、意外といい仕上がりになったのではないかとアニィは自画自賛しております。さてこの連載小説ですが3ヶ月ほど次の第2章の為の充電期間としてお休みさせて頂きますが、予告だけいれておきます。第1章は主人公の薫から見たこの物語と言う言わばベースが出来た訳なのですが、第2章はもう一人の主人公剛志から見たこの物語と言う形で小説を書き上げていきます。この2つの章が重なる事で物語がより深みを帯びてくる形になるのではないかとアニィは思っていますので、期待?して待っていて下さい。
それでは。長々有難うございました。と言う事でアニィでした。

テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学

こんにちは。アニィです。
この連載小説も今回で8回目の掲載となります。が、ここで最初に重大発表をしておきたいと思います。この連載小説ですがタイトルについてずっと考えていたのですがタイトルを「2つの目線」と言うタイトルにしました。当然2つのと言う事はこの連載小説も2つの目線が無ければ成立しないので、今後の展開としては今皆さんに見て頂いている小説をベースに違う目線での新たな物語が始まる形になります。そしてこのベースとなる物語ですが今回と次回でとうとう完結となります。今後の掲載予定については後ほどブログ上にて発表しますが、何はともあれこのベースとなります第1章、掲載していきたいと思います。

月日の流れは早いものでもう出逢ってから3年を迎えようとしている。あの強烈なインパクトをもたらしてくれた思い出に残るプロポーズから半年が経過しようとしている。あの夜に結婚を意識して、その後式場の予約から双方の両親へのご挨拶など夫婦になる道のりを着実に歩んできた。そしてとうとう明日は私達のゴールであり新たなスタートでもある結婚式を迎えようとしている。その前日である今日は自分自身の身なりを正す意味合いも踏まえて、ヘアースタ
イルを整える為それぞれの行きつけの店に行く事にした。「帰ってきたら二人でゆっくり外食でもしようか?」と剛志が言ったので、私は笑顔で「うん。」と答えた。「じゃぁ俺先行ってこの部屋で待ってるから。」と言い残し剛志は早々と行きつけの床屋へと向かった。

普段から同じ時間を共有しているし、ましてやこれから一緒になろうと言う相手だけに今さら外食って感じはあるのだけれど、こう言う節目を一緒に祝うって言う気持ちが私はたまらなく好きだった。私も心躍らせながら行きつけの美容室へと出向き、念入りにヘアースタイルを整えまるでセレブ気取りで剛志の待つ部屋へと戻った。
しかし、そこに剛志の姿は無く部屋は真っ暗なままだった。「床屋さん、混んでるのかな?。」私はそんな事を考えつつ、部屋の明かりを点けともかく剛志を笑顔で出迎え様と思っていた。私はこの待っている一人の時間に今までの過去を振り返り一人物思いにふけっていた。男嫌いだった私がいつの間にか最愛の男性に出会い、恋をして、そして結婚する。この幸せをずっと噛み締めていたい。そしてお互い年老いても手を繋いで町を歩ける素敵な家庭をこの命が果てるまで永遠に守り続けたい。そんな幸せな時間をこれから剛志と築いていく。この想いだけでも今の私にはお腹が充分一杯になるほどだった。この留守番電話に気付く前までは…。

私は留守番電話のサインが点灯している事に気付いた。「どうせ明日が結婚式だからお祝いの電話かなんかでしょ。」この時はそんな安易な気持ちでいたのだが、再生のボタンを押した時私の顔から一瞬にして血の気が引き、真っ青に青ざめるほど驚愕の現実を垣間見るのだった。
「こちら横浜中央病院です。こちら松崎剛志さんのご自宅でお間違いありませんでしょうか。松崎さんの所持品を勝手に捜索してしまう非礼をお許し下さい。現在松崎さんはトラックに跳ねられた様で瀕死の重体で当院に搬送されました。つきましては、大至急ご家族とご連絡が取りたくこうしてご一報差し上げました。一刻を争う状態にありますので至急当院までご連絡下さいます様お願い申し上げます。」
私は現実を受け入れられずにいた。ただ床屋に髪を切りに行っただけなのになんで重症なのと。何かの間違いなんじゃないのかと自分自身の心を落ち着かせ、事実関係を確認する意味で横浜中央病院に連絡を取ったのだが無情にも留守番電話に偽りは無く、私はこのまま病院に向かう形となった。

私は慌ててタクシーに飛び乗った。ともかく一刻も早く剛志に逢いに行かなければと。何故と言う想いは当然の事なのだが、今はこの事実を自分の目で確認する為に…。
タクシーは横浜中央病院に到着し、私は受付に電話があった旨を伝えると、奥の方から一人の看護師が神妙な顔をして私の前に現れた。「お電話の方ですよね。どうぞこちらです。」看護師はそう告げると早足で私を剛志の下へと案内してくれたのでした。

剛志はどうやらICU(集中治療室)に居る様だった。私はICU用の室内着に着替え、案内されるがままに歩いていくとそこには剛志が横たわっているのであった。生きてはいるが全く意識は無い。こんな状態の中今の私に出来る事と言ったら、ただ黙って剛志の手を握り締めながら祈る事しか出来ないのである。

と言う事で今回はここまでとさせて頂きますが、なんか韓国ドラマの様な強引な展開となりましたが、得てして韓国ドラマではこの後ハッピーエンドになったりするものなのですが、この小説についてはどうなるのでしょうか?次回9月30日に第1章は完結します。それまでお楽しみにって言う事で今回を締めさせて頂きたいと思います。それでは。アニィでした。

テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学

こんにちは。アニィです。
さてこの連載小説も回を重ねる事7回目となりました。最近では物語の構成もスムーズに描ける様になり、小説らしくなってはきているのかななんて思ったりもしています。皆さんは楽しんで頂けてますか?楽しんで読んで頂けている事を思い描きつつ、早速今回も掲載していきたいと思います。

「お客様、本日はラストまで有難うございました。」
店長が徹也に対し深々と頭を下げた。気が付けば私の仕事が終わる時まで徹也は私の相手をしてくれたのだった。
会計を済ませ、徹也は私にこう語りかけた。
「今日、これから知り合いのLIVEに顔を出すんだ。瀬奈ちゃんも愛ちゃんも誘っているので、薫ちゃんもこの後一緒に行こうよ。剛志は居ないけど誠二は後で来るから。」
私は、瀬奈からも愛子からもLIVEの話は聞いていなかったのだが、今日私にとことん尽くしてくれた徹也に対する御礼の意味合いを兼ねて、徹也の誘いを快く承諾した。

LIVEはどうやら野外ステージらしい。私は野外LIVE自体が初めてだったので色んな意味で興味深々だった。すると、LIVE会場のど真ん中の特等席が私達の為に用意されていた。
LIVE会場は野球場に特設でステージを作った、何とも大掛かりなステージ構成で沢山の仕掛けが隠されている様だった。一つ気になったのは、スタンドや私達の後ろの席は人でごった返しているのにも関わらず、私達の周りには人が居ない。知り合いだとこんな特等席を用意してもらえるんだと関心してしまう程だった。しばらくすると場内の照明が落ち、バラードの素敵な音色が聞こえてきた。ステージにブルーの光が灯り、ステージの暗幕をまるで海の様に染めて
いた。その奥で歌い手のシルエットだけが映し出された。曲はTUBEのプロポーズだった。

この歌は剛志もよくカラオケで歌っていて、私も気に入ってる好きな歌だった。耳を澄まして聴いていくと私の想いが強いのか、なぜか剛志が歌っている様に聴こえてしまうのだった。

♪遠回りばかりしたけれど 思い出と涙の数だけ 幸せにしてあげたい誰より 君をこの手で抱きしめ 守りたい

すると突然演奏が止まり、ステージに掛かっていた暗幕が一気に外れ、海の様に照らし出していたブルーの照明が消え、ステージ上に歌い手が現れた。左右からその歌い手を目掛けスポットライトがゆっくりと歌い手の方に寄ってくる。そのスポットライトが重なった瞬間、私は自分の目を疑った。

なんとその歌い手は、今まで連絡の取れなかった剛志だった。スポットライトの光を一身に浴びた状態で剛志はここの会場に居る観客に向けて語り始めた。
「皆さんこんな僕のワガママに付き合ってくれて本当に有難うございます。ここの会場に残って下さってる皆さんには凄く退屈な時間を過ごさせてしまうかも知れません。ただ今日だけはこの会場に来てる一人の女性に対し僕なりの答えを伝えたい。ただそれだけを考えています。」
私は剛志がなぜステージの上に立っているのかとなぜ私がこの場所に居る事を知っているのかそんな事を考えるだけで頭の中が軽いパニック状態に陥った。私は気が動転している中、周りの仲間の顔をキョロキョロと見渡すと、全員が私に対しまるでドッキリでも仕掛けたかの様に微笑み掛けてきた。どうやらここに居る他の仲間は事態を全て把握している様で、私だけが知らないままここに、まんまと連れてこられた様だった。そんな時私の席を正面のスポットライ
トが照らし出し、この空間で光を浴びているのは私と剛志の二人だけになった。
「薫、辛い想いばかりさせて本当にゴメン。でも今日だけは君にどうしても僕から気持ちを伝えたかったんだ。そしてこの言葉だけは僕の方から伝えなければならないんだ。僕…」
この瞬間に止まっていた演奏が再開し、剛志の前方を覆い被せる様に、ステージの端から端まで、夏の夜空を打ち抜くかの様な噴水が上がり、その上がった噴水の水を全身に浴びながら剛志は最後のサビを熱唱する姿が見えた。その光景は水のカーテンの中で必死に自分自身の想いを伝えようとする心を打つ演出だった。

♪僕よりも僕の事を知ってる 神様よりも君だよ 愛してるなんかじゃ足りない想い カタチにしたくて 約束したくて 君だけに 君だけに 証にしたくて 誓いにしたくて これが僕のプロポーズ

この歌に私への想いを乗せた気持ちの入った熱唱だった。そして前方にいきなり現れた水のカーテンがゆっくりと引き、ずぶ濡れになりながら熱唱した剛志が目の前に現れる。両手一杯に広げたその右の手の平にはエンゲージリングがしっかり握られていたのだった。
「長い間待たせてゴメン。これが僕の薫に対する、今出来る最大の愛情表現です。この想い、受け止めてくれますか?返事は今すぐでなくてもいい。僕の想いを理解してくれてさえいれば今はそれだけで充分だから…。」
剛志の言葉が私の胸の奥にジンジンと響いた。そして、今まで逢えなかった事、サプライズな演出、周りのみんなの応援と気遣い、色々な事が頭を駆け巡り、気がつけば目から拭いきれない程の大粒の涙がこぼれた。するとステージがさらに明るくなり、奥の方からバンドのメンバーが現れた。場内のスタンドを埋め尽くす観衆から津波の様な奇声が上がる中、ボーカルの方がマイクを手に取り語り始めた。
「いやぁ、なんか凄く心に残るイイモノを観させてもらったね。みんな、彼中々歌うまかったでしょう。薫さん…でしたっけ。彼、このステージの為にもの凄く頑張りましたよ。その姿は俺らが心を打たれた位だから。今日の主役は間違いなくあなた達二人だね。結果はどうなるのか判らないけど、今度は僕達から二人の未来と残ってくれたお客さんの為に特別プレゼントとして、何はともあれおめでとう?ミニライブをプレゼントしたいと思います。皆さん準備はいいですか?夜はこれからですよ!」
静まり返り私達の動向を黙って見つめてくれていたスタンドの観衆から歓喜の声が挙がった。
スタンドを埋め尽くす観衆の声は幾重にも重なり、まるでその会場全体が飛び跳ねているかの様な錯覚を起こすほど、場内は沸き上がった。
私の答えは言うまでも無い。それは私自身が一番望んでいた事だから…。こんなに素敵なサプライズの中で私自身の一番欲しかった答えが出た事を今は純粋に噛み締めていたい。そう考えるだけで今の私は充分だった。
こうして私の一生の中に思い出として刻み込まれたサプライズな夜は華やかに終演を迎えた。
会場を埋め尽くす大観衆、そして協力してくれたバンドの皆さんやかけがえの無い私の仲間と共に…。

今回でなんか綺麗にまとまった様に見えますが、物語はまだ終幕を迎えません。と言う事はこの後のストーリーの中に変化があると言う事を想像させてしまうかも知れませんが、まぁそれはご覧になって確認する様にして下さい。そうじゃないと連載小説の意味合いが無くなってしまいますからね。と言う事で今回はここまで。次回9月18日にまたお会いしましょう。
それでは。アニィでした。

テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学

こんにちは。アニィです。
苦労してやっと手に入れた夏休みもあっと言う間に終わってしまいました。ですが今年の夏休みは祝い事があったので結構充実した夏休みだったんじゃないかなって思っています。またこれから普通に過ごす日々に戻りますが、こう言った良い思い出を心に残しつつ、またいつも通り皆さんと接していこうと思っています。それでは早速、前回のつづきを掲載したいと思います。

私は原因を探るべく、今まで培ってきた過去を振り返った。剛志と築いてきたこの2年と言うかけがえの無い時間の中でその何処にすれ違いが生じて今の結果があるのかを自分自身の中で必死に答えを探していた。
つまらないケンカの中で少しずつストレスを与えてしまったのか?
大事なモノは無くなるとその大切さに気付いたりする。でも無くす前から大切だと思っているのに今さらそんな試練を与えてくれなくても…と、これが私の運命であり宿命だとするのであれば神様を恨んだりもした。しかし無情にも剛志が居ない、この現実は変わる事は無い。

こんな状態の中でも日々の生活は何も変わる事無く過ぎていく。私は自分自身のこの辛い感情を抱えながらも気持ちを切り替え仕事には望む事にした。
が、こんな私の感情は常に私と一緒に働いている瀬奈には見透かされていた。すると瀬奈は、今の私の心に響く貴重なアドバイスを諭す様に私に語ってくれた。
「大事なモノが無くなってしまった時って、凄くショックを受けるとは思う。私も過去に同じ経験をした事があるからよく分かるよその気持ちは。でも私は
その時にそれが本当に大事なモノだったのか必死で考えるの。考えて、考えて、考え抜いた中でそれでも必要だと感じた時は、黙ってそれが戻ってくる事を信じて待つの。だけれども、それでも戻って来ない時は、それ自体が自分にとって本当は必要の無いモノだったって整理をつけるの。結局は必要、不必要の判断って迷った時は時間に解決してもらうしか無いんだよね。本当に必要なモノは必ず戻ってくると思うから、それまでは流れていく時間に身を委ねて待つのも凄く必要な事なんじゃないかなって私は思うから、それまで頑張ろう。必要だと感じるのであれば信じて待ち続ければ必ず答えを時間が出してくれるはずだから。」
それは正直分かってはいた。けれども誰かに私の考えている事は間違っていないと背中を押して欲しかった。それを瀬奈がこの言葉を私に掛けてくれた事により、私の心の中にある信じて待つと言う気持ちが肯定され、この先自分を信じる勇気を瀬奈に与えてもらったのだった。

瀬奈の言葉で凄く気持ちの中のモヤモヤしたものが晴れていく気がした。私はこの時から剛志を信じて待つ事を実践し、ポジティブに物事を考え、自分自身の生活をまっとうする事に決めた。そうする事で自分の気持ちに平常心を保っていったのだった。

剛志と連絡が取れなくなってから約3ヶ月の月日が流れた。でも私の中の剛志は消えていない。
時間は流れても想いは萎むどころかますます大きくなっていく。気が付けば3ヶ月前の私よりも本気で剛志の事を好きになっている。このまま逢えないのか若干の不安はあるが、私の培ってきた志がそういったネガティブな気持ちをも打ち破っていった。

そんなある日、「ナナさんご指名入りました。」と店長の甲高い声が聞こえてきた。私は一瞬もしかしたらと言う思いもあったのだが、そこに立っていたのは剛志の友達の徹也だった。
徹也は私の心の中を覗いたかの様に逢ってすぐ、私にこう問い掛けた。
「薫ちゃん久し振り。もしかして剛志だと思った?だったらゴメンね。」
確かに図星ではあったけど…。そんな想いとは裏腹に私はすぐこう切り返した。
「何言ってるの?今はお仕事ですから…。そう言えばお久し振りですね…。」
全然可愛くないけれど、今の私に出来る精一杯の強がりだった。
「瀬奈ちゃんや愛ちゃんに聞いたよ。元気無いんだって?ぶっちゃけ剛志は今、俺らとも連絡が取れてないんだ。元気にやってるとは思うけど連絡位よこしたって良さそうなもんだけどね。」
徹也はおそらく瀬奈か愛子を通じて私の近況を聞きつけて私を励ましに来た様だった。すると徹也は間髪を入れずに、私に剛志の事を語りかけた。
「今、辛いと思うけど俺の知ってる剛志は決して人を苦しめる様な真似はしないはず。きっと何らかの理由があると思うんだ。だから薫ちゃんはこの先も剛志の事を信じてやってな。」
徹也の一言は何だか心に響いてくる。例えそれが慰めの言葉であったとしても。しかしそれを慰めと感じてしまうと、今までの自分自身の想いを否定してしまう様な気がする。それだけは違うと私は、徹也に対しこう返答した。
「確かに連絡を取れないのはもの凄く辛い事だけど、私はずっと信じてるから大丈夫だよ。」
この言葉に対し、徹也はニッコリと笑みを浮かべながらこう語りかけてきた。
「なんだ俺が心配する事は無いね。じゃぁ剛志じゃなくて悪いけど今日は俺の相手をしてね。」
そう語ると、今までの話は何も無かったかの様に徹也は私の話相手になってくれた。本来なら私が充分な接客をしなければならないのに、徹也はまるでホストの様に私に接してくれた。その行為が今の私にはとても嬉しかった。

人は大事なモノって無くした後に必要だと感じるものなんですよね。無くす前に気付いていたらそれなりの対処の仕方があるんじゃないかとも思うのですが
大概の人は無くすまでその必要性に気が付かなかったりするものなんです。
皆さんもそんな経験があるのではないですか?
この先のストーリーは一体どうなるの?って気になるんじゃないかとは思いますが今回はこの辺で終わりにしたいと思います。振り返ると結構いい出来でしょ。この小説は。と、皆さんにあまり感想を聞かせて貰った事が無いので自画自賛させて頂いたアニィなのでした。と言う事で次回9月6日にまたお会いしましょう。それでは。自称小説家の卵!アニィでした。

テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学

こんにちは。アニィです。
毎日暑い中お仕事ご苦労様です。って今お盆休み?アニィは仕事柄、お盆休み中は思いっきりお仕事なのでお盆休みは皆さんが休み終わって仕事についている時にやってくるんですよね。だから今は暑い最中、海やプールや水風呂や冷たいモノを頭に思い浮かべながら大汗かいて頑張ってます。
と言う訳でアニィのいらない近況報告も終わったところで早速、今回の小説を掲載したいと思います。

私は普段仕事ではあまり見せる事の無い、満面の笑顔で剛志との会話を楽しんだ。今振り返るとどうでもいい様な下らない話だったと思うが、そんな事は全然問題では無かった。剛志と話しているこの時間が凄く楽しく、私にとっては何にも代え難いほどの満足感があったからだった。
しかし何でもそうだが、楽しいひと時はあっという間に過ぎてしまうもので、そんな剛志との大切な時間も終わってしまう時が来た様だ。私は普段滅多に聞かないと言うか絶対に聞かないと心に決めていた携帯の番号をこの時だけは逃してはいけないと感じ、交換を求めた。すると剛志は快く了承してくれて無事交換する事が出来たのだった。
その帰り間際にまた剛志が私の心を打ち抜く様な一言を私に残してくれた。「正直に言います。僕は貴女が凄く気になって仕方が無かったので、今日は貴女にどうしても逢いたくて店に来ましたが、これだけは解かって欲しいなって思ってます。僕はこのお店のナナさんが好きな訳じゃなく、一人の女性の工藤薫さんが大好きです。こんな僕でよかったらこれからも宜しくお願いします。」

正直、胸にキュンとくる一言だった。私の事をそんな風に一人の女性として考えてくれている剛志の気持ちが何より嬉しかったからだ。仕事として考え、お客として付き合うのだとしたら確かにあまり嬉しい言葉では無い。が、私の気持ちが剛志に対し好意を持っている今、そんな仕事としての見方なんてどうでもいい事だ。だって、この瞬間に二人の意思疎通が共有し始めた訳だから。

その日を境に、私と剛志との交際が始まった。交際そのものは至って普通のカップルと同じである。映画を見たり、ショッピングをしたり、時には意見が対立しケンカをする事だってあった。ただ一つ剛志が他の私が出逢ってきた男性と違うのは、そのケンカの解決法である。
私は凄く些細な事で彼とケンカをしてしまった事がある。冷静に考えると私が100%悪い、そんなケンカだった。その時剛志は、私の悪い所をズバリ指摘した上でこう付け加えた。
「何が原因で、何が悪いのか、冷静に判断すれば僕がいちいち言わなくても薫は解かるはず。だって、薫には薫が生きてきた中で培ってきた経験が誰よりもあるでしょ。そんな薫だからこの様な些細な事で悩み、怒って欲しくないんだ。だから、薫自身が自分の心の中で悪かったと思う事は次しなければそれでいい。だけど、これだけは言っておくけど薫がこう言う気持ちになったのは薫だけの責任ではない。そう言う気持ちにさせてしまった僕にも原因があるんだ。だから、心から謝るよ。本当にすまなかった。これで、笑って終わりにしよう。」
私が今まで見てきた男達は、この様な一方的なケンカの場合、絶対に自分が謝る事はしなかった。責め立てて自分自身で制圧した事に満足して終わる様な男達ばかりだった。だが剛志だけはその誰にも当てはまらない、もっと先の事まで考えた上での答えをいつも出して、私を納得させてくれた。
そして私は剛志に出逢った事で、私の中の男の人の見方がどんどん変わっていった。
剛志が少しずつ私の中に溶け込んでいき、私自身がどんどん変わっていく。私を変えた張本人は間違いなく剛志なのだ。

私は剛志との人生に心から満足していた。最終的に結ばれて一生を共に歩んでいく人は剛志しか居ないと、そう信じて止まなかった。
しかし、ある日突然私の前から剛志が消えた。何の前触れも無く…。

やっぱり物語にはそれなりに波乱がないと面白味がないと思ってこんな意味深な終わり方にしてみました。どうです、この先気になったりしちゃいますか?
でも、今日はここまで。次回8月24日を楽しみにしていて下さい。
それでは。アニィでした。

テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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